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2015年7月20日 (月)

小さな恋人

隣に住む80歳の佐々木さんは
雨の日も風の日も
毎日自転車を15分ほど漕いで
美術学園に通い、彫刻を習っている。
真っ赤な流線形の
かっこいいヘルメットを颯爽と被って。

保育士の経験もある佐々木さんは
引退後、72歳で油絵科に入学、
その後彫刻科に転向し
80歳の現在は彫刻研究科に所属している。
我が家が4年ほど前、
このマンションに越して来て
引っ越しのご挨拶に伺った際
「息子が小さいのでうるさくして
ご迷惑をおかけすると思います」
と一言お詫びを伝えると
「私の方こそ彫刻をやっているので
毎晩遅くまでトントンとうるさくしてしまうと思うわ」
と言っていた。

それからはおむすびくんを
いつもいつも
保育士さんの面影を残すような眼差しで
見守ってくれている。

そんな佐々木さんがある日
「おむすびくんをモデルに彫らせて欲しいの」
と言って
おむすびくんの立ち姿、後ろ姿、手や足の
写真を持っていかれたのがおよそ1年前。

それからは
玄関先で会うと
「土台ができて来たのよ」とか
「頭と体のバランスが悪いって
先生に怒られちゃったわ」とか
「子どもの手の雰囲気を出すのが
なかなか難しいのよ」とか
彫刻の経過を教えてくれて
私も出来上がりを今か今かと
楽しみにするようになっていた。

そして先日、とうとう佐々木さんから
彫刻展のDMを頂く。

家族三人で喜び勇んで出かけると
Sasa6

真っ白な空間で
真っ白な作品に囲まれて
ひときわ目立つ小さな木の彫像。

「わぁ~」と思わず声を上げ
近づくと

Sasa1

それは
今よりもまだ少しあどけない
1年前のおむすびくんの姿だった。

タイトルは
「小さな恋人」。
思わず涙がこぼれそうになる。

今にも話だしそうな
歩きだしそうな
あの頃のおむすびくんがそこにいるようで
心もホロリ。

懐かしくって温かい作品に
ただただ感謝。
個展終了後は
我が家に下さるそうだったのだけど
佐々木さんのお知り合いの小児科の先生が
病院に置きたいと言って下さったそうで
小さな木のおむすびくんは
そちらにもらわれていくそうだ。

何だか私たちはそちらの方が
もっともっと嬉しく思う。

辛い思いをして
小児科にやってきたお子さんたちが
この彫像をみて
少しでも心安らいでくれたら嬉しい。

いってらっしゃい、
永遠の4歳のおむすびくん。

ずっとずっと元気でね。


Sasa4
今じゃこんなに生意気盛り(;;;´Д`)


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